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二十四節気「穀雨」
![]() 本記事は昨年の「穀雨」を編集し直した予約投稿です。ただ今ブログ活動は休止中です。 そのためタイムリーな記事もお休みしてます。折角来ていただいても何のおかまいができませんで、申し訳ありませんでした。 ![]() 二十四節気全体の概要はこちらからご覧いただけます。 第六節気 穀雨 こくう 4月20日~5月4日 二十四節気は4月20日から「穀雨(こくう)」を迎え、5月4日頃まで続きます。 穀雨は「雨が降って百穀を潤す」といわれ、田畑の準備が整い、穀物の成長を助ける春雨が降る頃でもあります。稲作を農業の中心としている日本では、発芽したばかりの稲を育てる雨として重視されてきました。 この頃から天気も安定し、日差しも強まり始める一方で、穀物の成長を助ける春雨が降る頃となります。この時期に降る雨は「百穀春雨」ともいわれ、百穀を潤し発芽させます。これが連続して降り続くことを「菜種梅雨(なたねつゆ)」といい、菜の花に潤いを与える長雨となります。これを春霖(しゅんりん)ともいいます。 雨の日が続くと憂鬱な気分になりますが、植物にとっては大切な恵みの雨ともいえます。 大地の草原には緑が甦り、春が一層色濃くなってきました。シャツを1枚脱ぎ捨て桜花爛漫の季節を満喫しましょう。 夏野菜を植えるにも最適な時季、晩春の穀雨です。夏を迎える前の八十八夜は茶摘みを始める目安の日でもあります。 ※次の二十四節気は5月5日の「立夏」です。 ![]() 七十二候全体の概要はこちらからご覧いただけます。 第十六候 葭始生 あし、はじめてしょうず 4月20日~4月24日頃 水辺に葭(あし)が芽を吹き出しはじめ、山の植物、野の植物が緑一色に輝きだす春爛漫の時季です。 「葭」とも、「蘆」とも書く葦。日本はかつて「葦原の国」と呼ばれたほど葦は古くから親しまれていた植物であり、すだれや屋根、紙や楽器などに用いられ、人々の生活に欠かせませんでした。大地が緑色に輝くこの時季、それまで枯れていたように見えていた葦の成長が見られます。 パスカルは「人間は考える葦である」と言いました。葦は強い風が吹いてもしなって倒れることはありません。人間は考えることができるということは、葦のように精神のしなやかさを持っているということなのかもしれません。 第十七候 霜止出苗 しもやみてなえいずる 4月25日~4月29日頃 霜が発生することをよく「霜が降りる」と言い、乾燥した地域の冬の朝によくみられます。朝早く散歩のために家を出て、寒さに襲われる日、植物の葉や茎、地面、建物や車の窓などに霜が降りていることがあります。 遅霜は、農業に大きく影響することがあります。霜が消える頃を迎えると、稲作農家は田植えの準備に入ります。水を張った田に初夏の太陽が降り注ぐと、田が生き返ったように輝いてきます。 稲が順調に育った苗床は若芽がまるで絨毯のように見えます。この時季を迎えると、農家では田植えが近づいたことを知り、人々の間には活気が満ち溢れてきます。 第十八候 牡丹華 ぼたんはなさく 4月30日~5月4日頃 牡丹が大きな花を咲かせる時季であります。中国では花の王といわれ、華やかさの象徴とされています。「富貴草」「富貴花」「百花王」「花王」など、たくさんの呼び名を持っています。 完全無欠の女性美を謳った言葉に「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」があります。 優美なだけでなく端正で、しなやかさと謙虚さも兼ね備えた女性像でもあります。条件の揃った女性など、現代ではなかなかお目にかかれないかもしれません。 下の<続きを読む>をクリックすると、穀雨前後の「季節の彩り」をご覧いただけます。 ![]() 四季の彩りを添えてまいります。 雑節 八十八夜 はちじゅうはちや 5月2日 ![]() 「茶摘み」の最後の一節にある茜(あかね)は止血剤として知られておりますが、茶摘みは素手の作業で指先に怪我をしやすいところから、襷(たすき)の茜成分を擦り込みながら作業したと言い伝えられています。絣に襷がけの衣装は初夏の風物詩でもあります。八十八夜に摘んだ茶は上等なもので、この日に摘んだお茶を飲むと長生きするそうですよ。とはいえ、実際の茶摘みの時期は産地によって違いますし、品種改良が進んで早期化傾向にあるようです お茶は奈良・平安時代、僧侶や貴族階級の間で飲んでいました。15世紀後半から千利休らによって「侘茶(わびちゃ)」として大成、武士階級にも流行。明治初期には次第に一般庶民もお茶を飲むようになりました。 詳しくは過去記事<夏も近づく八十八夜>をご覧ください。 五節句 端午の節句 たんごのせっく 5月5日 ![]() 「端午」の「端」は「はじまり」、「午」は「うまの日」であり、つまり月の初めの午(うま)の日のことです。端午の午と数字の五が同じ発音から毎月5日を指し、その中でも数字が重なる5月5日を「端午の節句」と呼ぶようになったといわれています。 別名「菖蒲の節句」とも呼ばれており、もともと5月の物忌みの時季に、薬草である菖蒲やヨモギで邪気や疫病を祓うといわれていました。薬効成分で血行を促進し、豊かな香りを楽しむ菖蒲湯は昔から魔よけとして利用されていました。江戸時代の徳川幕府は菖蒲と尚武をかけ、重要な式日として祝うようなったそうです。 五月人形のモデルは金太郎さんで、菱形の腹掛けを着け、鉞(まさかり)を担いで熊の背に乗る姿は、出世、強健、武勇を象徴する男の子の守り神でもあります。 詳しくは過去記事<今年の端午の節句と立夏は5月5日>をご覧ください。 田植え たうえ ![]() 水をいっぱい張った田圃に初夏の太陽が降り注ぐと、生き返ったようになります。かつて男は代かきに、女は田植えに奔走していました。この田植えする娘さんたちを昔は早乙女と呼んでいました。 絣(かすり)の着物に、赤い腰巻やたすきを掛け、並んで手植えする姿は、今では各地の御田植祭でしか見ることができません。重労働のため、かつては地域で助け合っていましたが、現在では田植え機などが導入され、農作業が軽減化されるようになりました。 今でこそアッという間に終わってしまいますが、手植え作業だった頃は家族や子供、そして村同士総出で田植えをしていました。もともと村の共同作業だった田植えは、同時に神事でもありました。今でも全国の多くの神社には、御田植祭、または御田植神事などと呼ばれる伝統行事が残っています。秋の豊作を祈る大切な儀式だったのです。今では無形民俗文化財に指定されているものも多くあるようです。 詳しくは過去記事<霜降も終わり苗が生長する霜止出苗>をご覧ください。 森林浴 しんりんよく ![]() ただ歩いているだけでなんとなく、心が癒される感じです。視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の五感が研ぎ澄まされる思いがします。木々の息吹や風のざわめき、小鳥のさえずりなどを感じることで、森のパワーを吸収することになります。 また森の緑は光合成による二酸化炭素の吸収と、酸素の供給を繰り返しており、空気をきれいに循環してくれます。森の中の空気は美味しいと感じるのはこの光合成の作用によるものなのです。 詳しくは過去記事<霜が消える頃迎える田植えの準備>をご覧ください。 牡丹 ぼたん ![]() 漢方では3っとも根の部分が生薬として使われるそうです。特に、芍薬と牡丹は婦人科系の病気に効能があり、「立ったまま長くおしゃべりできる女性には芍薬を、すぐに座りたがる女性には牡丹を配合するとよい」という意味で、「立てば芍薬、座れば牡丹」といわれてるそうです。http://admin.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=load&eno=661# 詳しくは過去記事<新緑を吹き抜ける心地よい薫風>をご覧ください。 葦の角 あしのつの ![]() 「春は名のみの風の寒さや」で始まる「早春賦」は、信州安曇野あたりの早春をイメージしたといわれています。 100年ほど前作られたこの名曲。2番の歌いだしに「氷とけだし 葦は角ぐむ」とあります。 暦の上では春だといいながら、まだ風はこんなに冷たい。とはいえ周りを見ると、水辺の葦がまるで角を出すように新しい芽を出し、春の兆候が表れている、ということを伝えているのでしょう。 「葭始めて生ず」。夏を目前にして、煙るようにしとしと降る優しい春の雨。葦の角からは晩春の香りが漂ってくるようです。 詳しくは過去記事<大地が潤い、五穀を生み出す穀雨>をご覧ください。 愛鳥週間 あいちょうしゅうかん ![]() この時季は、ちょうど小鳥の産卵、育雛の大事な時でもあり、害虫を捕らえて農作物や動物の生育を助け、人の心を慰めてくれる小鳥を保護するためなのです。日本では冬鳥、夏鳥、旅鳥、留鳥、迷鳥の六種に分けられ、その種類は実に400種を超えるそうです。 詳しくは過去記事<5月10日からバードウィーク>をご覧ください。
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