理想のパラダイス 桃源郷

食事のとき、飲み物と一緒に出てくるおしぼりは、顔を拭いたり手を拭いたり、時にはこぼした飲み物を拭いたりと、とても気の利いた日本独自のサービスですよね。特に暑い夏の盛り、コーヒーショップでの冷えたおしぼり。汗を拭き取るときの爽快感はたまらないですよね。最近では海外の飛行機でもおしぼりが出るそうですが、過去に日本の航空会社が取り入れて、とても評判となり世界中に広まったそうです。
昨年、IOC総会のプレゼンテーションで滝川クリステルさんがアピールした「おもてなし」。日本の風習がこんなところにも生きているんですね。

桃源郷

日本女性のごとく奥ゆかしい「桃始笑」
さてさて日本の季節は3月11日頃から七十二候の第八候「桃始笑(もも、はじめてさく)」に変わります。
桜や梅の華やかさの陰に隠れながらも桃の蕾が咲きかける時季です。昔は花が咲くことを笑うといいました。競うように桃の花がほころび始め、漂う香りが人々に改めて春の訪れを実感させてくれます。
この時季五弁の花を咲かせた桃の花は、夏に水分が多くて甘い果実を実らせます。「もも」は、多くの実をつけることから「百(もも)」とする説があり、邪気を祓う力があるというところから3月3日の桃の節句にはひな壇に桃の花が飾られておりました。
しかし、おもてなしを想定させる日本女性のようにその存在は奥ゆかしく、梅や桜に比べると目立つ存在ではありませんでした。桃は遺跡の出土などから、縄文時代前期には日本にあったそうですが、万葉集には7首しか詠われていません。一方の梅は118首が詠まれており、春の花といえば梅の花だったんですね。

桃太郎は勧善懲悪痛快物語
ところで桃といえば、日本には昔からおとぎ話「桃太郎」の話があります。お婆さんから黍団子(きびだんご)を貰って、イヌ、サル、キジを従え、鬼ヶ島まで鬼を退治しに行く勧善懲悪の物語はご存知だと思います。この昔話は、明治から昭和の戦時期まで、教科書に載りつづけてきましたが、アメリカによって管理されるようになった戦後教育には、桃太郎はサッパリ姿を消してしまいました。
桃太郎は紀元前3世紀頃に活躍した、第7代孝霊(こうれい)天皇の息子、吉備津彦命(きびつひこのみこと)がそのモデルであったと言われています。吉備津彦命は吉備(今の岡山県)を支配し人々を苦しめていた百済(朝鮮半島)の王子、温羅(おんら/うら)を討ち、吉備の支配者になったという説があります。この時お婆さんから貰った団子が吉備団子、温羅が様々な悪事を働いた城を鬼ノ城(きのじょう)と呼び、鬼ヶ島に見立てていたのでしょうね。
「桃太郎」は各地に伝わるいろいろな伝説がありますが、私も高校の演劇会で「桃太郎」を演出したことがありました。高校生独自の解釈による「痛快!桃太郎」。楽しかったですよ。高橋英樹さんの「桃太郎侍」まではいきませんでしたけどね(笑)。

心の内に存在する桃源郷
また楽園ともいわれる「桃源郷」という言葉があります。中国の詩人、陶淵明(とう えんめい)は「桃花源記」で、「桃源郷」の話を描いています。
桃花の林の中に迷い込んだ武陵(湖南省)の漁師は、その香ばしさ、美しさに心を魅かれ、彷徨いながらもその源に行き当りました。そこで秦の戦乱を避け、外界との縁を切り、幸せに暮らす人々から素晴らしいおもてなしを受けます。やがて漁師は外界に戻り、他言を禁じられながらも役人に一部始終を話してしまいました。その結果、後日役人と一緒に訪ねようとしましたが、二度と辿りつけなかったということです。これがいわゆる「桃源郷」です。
漁師が桃源郷へ再訪できなかったのは理想郷を心の外に求めたからであります。人々の心の内にある存在が桃源郷であり、自然の美しさを表し、不老不治や仙人などという要素はこの楽園にはないのです。
東洋では古くから「桃」は生命の象徴とされてきました。後世に様々な独自の風味が加えられ、一種の「桃源郷都市伝説」が形成されていったのかもしれませんね。これが日本ならさしずめ「桜源郷」といわれてたかもしれません(笑)。


◇二十四節気 啓蟄(けいちつ)◇
二十四節気三番目の節気。3月6日および春分(3月21日)の前日まで。
冬のあいだ土の中に巣ごもりしていた虫たちが目ざめ活動を始める時季。
◆啓蟄の七十二候は次の通り。
第七候(啓蟄初候)3/6~3/10 蟹虫啓戸(すごもりむし、とをひらく)
土の中に穴を掘って隠れていた虫たちが、土の扉を開き広げて出てくる時季。
第八候(啓蟄次候)3/11~3/15 桃始笑(もも、はじめてさく)
ようやく春らしくなって桃の花が咲きはじめる時季。
第九候(啓蟄末候)3/16~3/20 菜虫化虫(なむし、ちょうとなる)
成長した菜虫(青虫)が羽化して紋白蝶になる時季。


今日の独りごと
確定申告の時季です。やっと先日税務署に提出して来ました。
というと、いかにも膨大複雑な申告内容のようですけど、中味は至って単純。書類作成の手順を忘れているだけなんです。1年も経つと何もかも忘れてしまうんですね。健忘症、いやいやボケの始まりかも。
それにしてもPCは便利です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からならデータを入力するだけ。勝手に計算してくれます。後はプリントアウトして、提出書類の出来上がり。
さらに納税システムを便利にしてくれるのがe-Taxですが、これは今回も見送りました。電子証明書やICカードリーダーを購入しなければなりません。税務署に行く時間や受付での順番待ちのことを考えれば、便利なんでしょうけどね。今はやり遂げた満足感に浸っております(笑)。


ご迷惑をお掛けしました。本日はコメント欄を開けております。








参考サイト:ぴおWikipedia日本文化いろは辞典教えてgoo、TEPOREレター Vol.561、七十二侯がまるごとわかる本
写真協力:写真素材-フォトライブラリー

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  • |2014.03.11(Tue)
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こんばんは

そろそろ春が来そうなそんな感じもしますね^^。
近所の梅がやっと大きく開き始めました!でも桜はまだまだのようです。

桃太郎というと。
私が幼稚園の年長時に学芸会(というのでしょうか)で桃太郎を紙芝居のような感じで演じたことがあります。
私の役は「青鬼」でした(泣)。
  • |2014.03.11(Tue)
  • |見張り員
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大きなお客様が、岡山にいましたので、何度か吉備路や総社の古社寺を訪問しました。吉備津彦神社も訪れました。

吉備津彦命が、桃太郎のモデルなんですね。
  • |2014.03.11(Tue)
  • |jizou
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春山は笑うと言いますが素敵な風景の写真ですね。
昨日は3年目を迎えましたが、
落ち着かれたのちからのmatsuyamaさんの穏やかなブログの更新を拝見しては、いつも日本の今昔の素敵さを辿っていらっしゃるような思いがして仕方がありません。
きっとそれはmatsuyamaさんだからせねばならないお役目ではと(僭越なことを申し訳ありません)。

良い春をお過ごし下さいね。
今回、私のことでは色々とお励まし下さってありがとうございました。春が背中から迫っているのに負けてなんていられませんね。
  • |2014.03.12(Wed)
  • |まろゆーろ
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Re: 見張り員さんへ☆彡

事あるごとにもうすぐ爛漫の春がやってきますと書き続けてきましたが、今だに底冷えの冬がはびこってます。なんか毎回嘘を書いてるような気がしてならないですね。今日もこちらは雪がチラついてます。

ご存知の桃太郎は「悪しきを挫き、弱きを助ける」日本人の情を奮い立たせるドラマです。水戸黄門の「この印籠が目に入らぬか」と同様に、桃太郎ほど演じられる芝居もありませんね。
青鬼でしたか。青鬼、赤鬼がいればこそ桃太郎がひと際引き立つんですよね。ドラマには主役を盛り立てる脇役が必要です。子供の頃にはどうしても主役にばかり目が行ってしまいますから、悔しいんですよね(笑)。


  • |2014.03.12(Wed)
  • |matsuyama
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Re: jizouさんへ☆彡

昔ばなしははっきり言って伝説ですからね。事実かどうかは確証できませんが、吉備津彦命の出来事を讃え、忘れないように桃太郎の話を創ったとも言われております。吉備津彦命は温羅の投じる岩に2本の矢を同時に射て、温羅の左目を射抜いたそうです。温羅が雉になって逃げると吉備津彦命は鷹になって追い、最後は鯉になって川に逃げた温羅を鵜になって飲み込み退治したという話があります。これが桃太郎伝説の元になってるようです。日本各地に数多くある桃太郎の伝説も、岡山の説が有力のようですね。

桃太郎といえばきび団子。黍団子だとばかり思っていたら、吉備団子だったんですね。吉備の国の団子だから吉備団子なんでしょうけど、この吉備団子は岡山を一躍有名にしましたよね。

  • |2014.03.12(Wed)
  • |matsuyama
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Re: まろゆーろさんへ☆彡

古来から伝わる日本伝統の茅葺屋根。自分にも日本人の血が流れてるんでしょうか。心が落ち着きますね。
この辺では見られなくなりました。国が指定する文化財として保存してもらわなければ、ますます日本の伝統文化が廃れて行くような気もします。

昨日は東日本大震災三周年追悼式があり、参列して来ました。それぞれ地域単位で開かれた追悼式では見覚えのあるご遺族なども参列しており、懐かしんだり、涙を誘われたりもしました。天変地異の襲来は予期せぬこととはいえ、ご遺族のお気持ちを察するともう2度とこのような悲劇を招いてはならないと心に誓う思いでした。
震災は人命を失うだけではなく、自然景観、由緒ある歴史建造物までもが一瞬にして消え去ってしまいます。旧き良き伝統を受け継ぎ、後世に伝えようとする者にとっては悲しい出来事ですよね。

悲しいといえばこの度の報、愕然とされておられると思いますが、これも何かの試練。一歩一歩地歩を固め、日の目を見ながら最善の道を歩むことも長い人生を生き抜いていく道であります。良き父を持った息子さんのことですから心得ていることでしょうが、焦らずに次の機会に全力を出し切ってほしいですね。


  • |2014.03.12(Wed)
  • |matsuyama
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matsuyama さんへ!!

日本の風習は本当に素晴らしいものと誇りに思いますねー。この立派な習慣を絶やさないようにしたいものですねー。悪い人間が出る日本とも思わないのですがねー。社会が悪いのでしょうかねー。

桃太郎や黄門さまは単純ですが勧善懲悪の大切な事を教えています。!
  • |2014.03.13(Thu)
  • |荒野鷹虎
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Re: 荒野鷹虎さんへ☆彡

ご返事遅くなりまして申し訳ありません。

日本昔ばなしは子供の頃からテレビのアニメで親しんできました、大衆娯楽番組も見てきました。悪を退治するストーリーは痛快でしたよね。単純ですけど、こういう番組が子供心を育ててくれるんではないかと思います。
今の子供はPCゲームやプレスタなどで、人間の感情を持たないゲームで人を傷つけ、いとも簡単に殺しあう殺伐とした冷酷性が身についていると思いますから、痛さが分からないのかもしれません。
冷淡なバーチャルゲームで育った無機質な人間が、社会を脅かすのかもしれませんね。怖い世の中になりました。


  • |2014.03.16(Sun)
  • |matsuyama
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