二十四節気全体の概要は
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昔ながらの稲刈りで刈り取った稲はさき掛けされ、約2週間余りの天日で干されます。十分乾燥した稲は脱穀され、後日精米されます。コンバイン一台で収穫・脱穀・選別の機能を併せ持った最近の農作業には見られない風情があります。
この日は脱穀している間、JR線の列車が通り過ぎて行きました。脱穀の農作業は
二十四節気の
霜降を感じさせてくれます。
二十四節気 霜降 そうこう 10月23日~11月6日
朝晩の冷え込みがさらに深まり、北国や山里では霜が降り始める頃です。露が霜に変わりだんだんと冬に近づいてきます。地面が放射冷却によって冷え,空気中の水蒸気が昇華して氷の結晶となる霜。野菜にうっすらと付着している霜を見ると、一瞬ぶるぶるっと身震いし、秋の深まりを感じてしまいます。
農作物にとっては霜害にしばしば襲われる危険性をはらんでおります。春の霜害を「晩霜害」、秋の霜害は「初霜害」と言います。
園芸や家庭菜園を楽しんでいる方は、この頃から霜枯れの対策を、そしてご家庭内では暖房器具の準備も徐々に始めるころです。
実際に霜が降りるのは山間部や北国だけですが、紅葉する地域も少しずつ広がり、赤や黄色で色づき始めた山々には冬が目前に迫っています。
11月の声を聞くようになると、さすがに朝晩の冷え込みは顕著になり、最低気温も10度を切るようになります。日中はまだ過ごしやすい日が続いておりますが、夜は冷え込みも厳しく、ストーブやコタツなど暖房器具のお世話になっています。夏日が続く地域からは想像もつかないかもしれませんが、これが南北に長い日本列島の現実かもしれません。
早朝には霜が降りはじめ、裏山にも紅葉の色合いが漂ってきました。すっかり秋も深まり、もみじや楓で北国は徐々に、燃えるような赤色に染まりはじめております。紅葉は秋霜や時雨の冷たさに揉み出されるようにして色づくことから「揉み出づ」→「もみづ」→「もみじ」→「紅葉」と転訛したのだそうです。
紅葉狩りに行くとあらためて感じるのが日の短さです。秋の日は釣瓶落としといわれ、あっという間に日が暮れてしまいます。夏のつもりでいるといつの間にか懐中電灯が必要になってしまった、ということもありますから気をつけましょう。2カ月後の冬至までは、日に日に夜が長くなっていきます。
※次の二十四節気は11月7日の「立冬」です。前日頃までにご案内します。七十二候全体の概要は
こちらからご覧いただけます。
第五十二候
霜始降花 しもはじめてふる 10月23日~10月27日
朝晩の冷え込みで、明け方に霜が降り始める頃。
早朝散歩をしていると野菜の表面にうっすらと氷の結晶を見ることができます。
霜は地面や物の表面が放射冷却によって冷え,その上に空気中の水蒸気が直接、昇華して氷(結晶)ができる状態をいいます。この氷が霜です。
霜降とは言いますが、霜が降りてくるわけではありません。霜の形を拡大してみると雪の結晶と同じです。この結晶は長く持ちません。
東北や北陸、甲信越地方などでは紅葉が見頃を迎えます。日本では万葉の時代から春には桜の花見、秋には紅葉狩りを楽しんできました。
第五十三候
霎時施 こさめ、ときどきふる 10月28日~11月1日
秋も終わりとなる頃で、霎(そう・こさめ)がしとしとと降ってわびしい時季。
短時間で降ったり止んだりする雨や雪が時雨(しぐれ)。初時雨は、人々や動物たちが冬支度をはじめる合図だといわれており、冬への足場を固めていきます。秋の時雨は冷たく大地を濡らし、雪へと姿を変えます。
落ち葉に向かって静かに降る雨はどことなくもの寂しく、秋の切なさが感じられます。さっと降っては止むことから、「女心と秋の空」(男心と〜)を表わす言葉とも言われています。
春雨が華やかに感じられるのに対し、秋雨はどこか淋しげな語感があります。秋雨は秋霖とも、霧雨とも呼ばれ、また秋時雨(しぐれ)とも呼ばれます。
時雨は冬の季語で、旧暦10月の異名です。「しぐるるや 田の新株の 黒むほど」など、芭蕉が好んだ句材でもあったため、芭蕉の忌日である10月12日は「時雨忌(しぐれき)」と呼ばれています。
第五十四候
楓蔦黄 もみじつたきばむ 11月2日~11月6日
もみじや蔦の葉が色鮮やかに装いを変える頃です。
古くから紅葉として楽しんできた楓。葉の切れ込みの深い方を「楓」、浅いのを「もみじ」と呼んでおり、どちらも秋の紅葉を代表する樹木として親しまれてきました。
葉が赤色に変わることを「紅葉」と呼び、銀杏のように黄色に変わることは「黄葉」と呼びます。また、秋の山が紅葉することを「山粧う(よそおう)」といいます。
北国や山々はすでに紅葉に染まっている頃であり、各地の名所は観光客で大いに賑わっております。紅葉前線が日ごとに南下し、平地でも美しい秋の景色が楽しめるのもこの頃からです。春の桜と秋の紅葉は日本の美の象徴として、人々の心と身体を癒してくれる季節の恵みでもあります。
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四季の彩りを添えてまいります。
国民の祝日
文化の日 ぶんかのひ 11月3日
11月3日は「文化の日」です。1946年に、平和主義・国民主権・基本的人権を宣言した新憲法に基づき、この日を記念日にしました。
文化とは、「人間が自然に手を加え形づくってきた物心両面の成果。衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活の様式と内容を含むものを文化と呼ぶ」とされています。
あるご住職による法話によれば、人間には先祖から受け継いだ文化があります。それをさかのぼると、「自然」に行き当たります。したがって、今日、便利な生活を支えてくれている文明の発達に感謝するとともに、文化の根本である自然に感謝していくことが文化の日の心掛けであります、とお話しされています。
詳しくは過去記事
「文明文化でも怯える都市伝説」をご覧ください。
ハロウィン 10月31日
ハロウィンはこの日、家々に灯りがともるころ、お化けかぼちゃのランタンを持ち、仮装した子供たちが近所を訪ねてまわり、家々でお菓子を貰います。
もともとはヨーロッパを起源とする民族行事で、毎年10月31日の晩に行われます。キリスト教の諸聖人の祝日「万聖節」(11月1日)の前夜祭で、収穫への感謝とともに悪魔払いをするお祭りでした。All Hallo Eveが訛ってHalloweenと呼ばれるようになったのです。
ハロウィンのシンボルでもあるかぼちゃをくり抜いて作ったジャック・オー・ランタンは、この灯りをたよりにやってくる悪霊や魔女が怖がって逃げるといわれており、人々は身を守るために仮面をかぶり、玄関や窓辺にランタンを灯して精霊を迎えたそうです。
詳しくは過去記事
「収穫の感謝と悪魔を払うハロウィン」をご覧ください。
紅葉狩り もみじがり
紅葉は「もみじ」とも読みます。秋霜や時雨の冷たさに、揉み出されるようにして色づくことから、「揉み出づ」→「もみづ」→「もみじ」→「紅葉」と転訛したのだそうです。紅葉(もみじ)という植物は学術的には存在しません。ヤマモミジやイロハモミジなどはカエデ科で、カエデの由来はカエルの手に似ているところから、「カエルデ」が「カエデ」になったともいわれています。
一口に紅葉といってもその色は大きく分けて紅葉、黄葉、褐葉の三色に分けられます。それぞれの色素を作り出す葉の中の酵素系の違いと、気温、水湿、紫外線などの自然条件が複雑にからみあって起こります。
紅葉・黄葉は、最低気温が10℃以下の日が続くと色付き始め、さらに5℃以下になると一気に進みます。美しい紅葉を見せてくれるのは「昼夜の気温の差が大きい」「夏が暑く日照時間が長い」「夏に充分な雨が降る」「湿気が少なく乾燥している」などの条件が揃った時のようです。
詳しくは過去記事
「紅葉狩りは魅惑的な鬼女を象徴!」をご覧ください。
木枯らし こがらし
10月半ばから11月末にかけて西高東低の冬型の気圧配置で、北よりの風速8m/s以上の強く吹く冷たい北風を木枯らしといいます。
文字通り木の葉を飛ばし枯らしてしまうような風です。その年の冬、最初に吹く木枯らしが「木枯らし一号」で、身震いするような冷たい風にコートの襟を立てると、ついに冬がやってきたことを実感します。
「木枯らし二号」や「木枯らし三号」もありますが、発表はされません。
北海道、東北地方や本州中部の山間部では霜が降りるようになり、朝には草木が白く化粧するようになります。この頃になると、すっかり秋も深まり、もみじや楓の紅葉は北から徐々に南下し始めます。平野部でも早霜による被害が出始める頃でしょう。
詳しくは過去記事
「冬来たりなば春遠からじ!?」をご覧ください。
霜柱 しもばしら
霜が降りるのは気温3℃以下といわれ、紅葉スポットでは、朝の気温が5℃を下回ることもあり、霜が降りても不思議ではない気候になります。昼は暖かく絶好の紅葉狩りですが、朝晩は気温が急激に下がります。紅葉狩りをお楽しみの方は厚手の服装も忘れずに。
冷え込んだ朝、ふと下を見ると霜や霜柱を見つけることがあります。霜と霜柱。似たような言葉ですが、出来方はまったく違います。霜は空気中の水分が昇華したものに対し、霜柱は地中の水分が凍ったものです。畑や庭の片隅を歩くとサクッサクッと気持ちいい音をたててくれます。
霜柱は毛細管現象で水を吸い上げ易い土、湿り気を帯びた土によく出来ます。反対に水はけのよすぎる砂、水はけの悪い粘土質、晴天続きで乾いた土のところに、霜柱は発生しにくいようです。
詳しくは過去記事
「霜と紅葉が混在する霜降」をご覧ください。
秋の空 あきのそら
お天気が変わりやすい秋の空。これを変わりやすい人の心になぞらえ、「男心と秋の空」「女心と秋の空」と言われ、そして「秋の夜と男の心は七度変わる」などとも抽象されてきました。
このことわざができた江戸時代、もとは「男心と秋の空」でした。当時は既婚女性の浮気は命を落とすほどの重罪だったのに対し、既婚男性の浮気には寛大でした。男性の変わりやすい心を例えていたのでしょう。「女心と秋の空」が一般的かと思いますが、実態は「男心と秋の空」だったのです。
これに対し「女心と秋の空」は、明治時代、尾崎紅葉の小説『三人妻』に女心と冬日和といえり、と記されており、イギリスの諺で「女心と冬の風」を例えたのではないかといわれております。これは強風やおだやかな風に変化しやすい冬の風を、女心にみたてたのかもしれません。
詳しくは過去記事
「「男心」と「女心」の秋の空」をご覧ください。
小春日和 こはるびより
小春日和には春という字がつくので4月頃かと思ってしまいますが、小春とは旧暦の10月の別称で、現在でいう11月頃の気候です。晩秋から初冬にかけ、寒さが増した頃の春を思わせるような暖かい陽気のときに使います。冬が深くなる前のひとときで、何か心も安らぎます。
アメリカではインディアンサマーといい、日本は春の陽気を意味しますが、アメリカでは夏の陽気をあらわすようです。アメリカの夏は日本のように湿度が高くなく、さらりと陽気な暑さだからでしょうか。
俳句の世界では小春日和、小春とも冬の季語になっております。
間違って理解されているようでしたら、気をつけましょう
詳しくは過去記事
「冬枯れの景色が目立つ立冬」をご覧ください。
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テーマ:岩手をつぶやく
ジャンル:地域情報