新緑を吹き抜ける心地よい薫風

香りを運ぶ風薫る五月
明日から風薫る5月です。昔から4月の風は光り、5月の風は薫るともいいます。やがて森から吹く風に若葉の香りが含まれ、緑の香りが運ばれてくる爽やかな風が頬のあたりを通り抜けていくでしょう。
4月30日からは穀雨の末候、七十二候の第十八候「牡丹華(ぼたんはなさく)」です。牡丹(ぼたん)が大きな花を咲かせる時季をいいます。日本で花といえば桜ですが、中国では牡丹が王者の象徴とされ、文学や美術、工芸などに登場しておりました。華麗に咲く様子はまさに百花の王ともいわれ、さまざまな花が開く春の中でひときわ目立っております。

芍薬 牡丹 百合
①立てば芍薬 ②座れば牡丹 ③歩く姿は百合の花

立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花
都々逸に「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という歌があります。知性、容姿、振る舞いなど才色兼備の素養が身についた美しい女性のことをいいますよね。世界の3大美女といえば小野小町、楊貴妃、クレオパトラといわれていますが、最近ではこの美人の基準が変わってきているのかもしれません(興味のある方は過去記事2009年05月28日「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」をご覧ください)。
漢方では3っとも根の部分が生薬として使われるそうです。特に、芍薬と牡丹は婦人科系の病気に効能があり、「立ったまま長くおしゃべりできる女性には芍薬を、すぐに座りたがる女性には牡丹を配合するとよい」という意味で、「立てば芍薬、座れば牡丹」といわれてるそうです。

立てばパチンコ 座ればマージャン 歩く姿は馬券買い
この都々逸のパロディ版に「立てばパチンコ、座ればマージャン、歩く姿は馬券買い」などというのがあります。さらに「寝ればつんつん 座れば無心(金品をねだる) 立てば後ろで 舌を出す」、「立てば食欲 座れば布団 歩く姿はブリの腹」など、人の心理や姿恰好を風刺したパロディもありました。どことなく親近感を覚えますね。
都々逸は江戸末期から明治にかけて愛唱された歌で、男女の恋愛を題材として扱うため情歌とも呼ばれています。中にはこんな都々逸もありました。
「君は吉野の千本桜 色香よけれど木(気)が多い」
「花は散りぎわ男は度胸 いのち一つはすてどころ」
「ざんぎり頭を叩いてみれば 文明開化の音がする」

八十八夜の一番茶は極上健康茶
立春からかぞえて八十八日目にあたる5月2日は雑節の八十八夜です。春から夏に移る節目の日で、縁起のいい日とされてきました。八十八夜に摘み取られるお茶は、古来より不老長寿の縁起物の新茶として珍重されてきました。八十八夜とお茶が結びついたのは、「夏も近づく八十八夜・・・♪」と茶摘みを歌った唱歌の影響があったからのようです。最盛期である八十八夜、気候条件も含めてこの時期のお茶は、うまみのもとであるテアニンなどの成分を豊富に含んだ極上茶なのです。
一番茶は健康に良い飲み物として、摂取すると古くから無病息災で過ごせるという言い伝えがあります。

菖蒲湯で香りとリラックスを楽しむ
5月5日はこどもの日であり、端午の節句でもあります。端午は「端(はじめ)の午の日」という意味で、そもそも5月に限ったことではありませんでした。午と5の読みが同じことから、二つ重なる5月5日を「端午の節句」としたのです。中国では陰暦5月は物忌の月で悪月とされ、この日に病気や災厄を払う目的でいろいろな行事を催したといわれています。
日本の端午の節句は聖武天皇の時代に始まり、この日、菖蒲を飾り物にしたと「純日本記」に書かれているそうです。現在では、家の軒端に「菖蒲」や「よもぎ」を葺き、菖蒲を入れた菖蒲酒を飲み、菖蒲湯に入るのは菖蒲が尚武に繋がるといわれています。魔除けの風習とされていますが、菖蒲には健康にいい成分が含まれていることもわかっています。腰痛や神経痛を和らげる作用があると言われていますし、香りにもリラックス効果があると言われています。端午の節句は男の子の祝日となり7歳以下の男の子のある家では、外に幟、吹流し、鯉幟を飾り、家には、内幟、を立て冑人形、弓矢、刀剣などの5月人形を飾る習わしがあります(詳しくは過去記事2009年5月4日「今年の端午の節句と立夏は5月5日」を参照)。

同日5月5日は二十四節気の立夏です。梅雨入り前の行楽のベストシーズンです。少し長くなりましたので、詳しくは5月5日、次回の記事でご案内いたします。





参考サイト:お茶と八十八夜のお話和菓子大阪ぴお、ズバット通信vol.49、七十二侯がまるごとわかる本
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霜降も終わり苗が生長する霜止出苗

苗代の若芽は緑の絨毯
4月25日頃から始まる穀雨の次候、七十二候の第十七候は「霜止出苗(しもやんでなえいずる)」です。
先日の時ならぬ降雪は例外として、春になり気候が暖かくなると夜間の冷え込みもなくなり、霜が降りなくなります。農家では植えられるはずの稲も順調に育ち、苗代は若芽がまるで絨毯のように見えます。霜止出苗の候を迎えると、農家では田植えが近づいたことを知り、人々の間には活気が満ち溢れてきます。田植えの準備が着々と進められ、早い地域では4月頃、最も遅いところでは6月頃に行われます。

御田植祭
写真は福島県喜多方市慶徳町の御田植祭(写真工房 ふるさと歳時記より借用)

絣の着物に赤いたすきは伝統の田植えファッション
水をいっぱい張った田圃に初夏の太陽が降り注ぐと、生き返ったようになります。かつて男は代かきに、女は田植えに奔走していました。この田植えする娘さんたちを昔は早乙女と呼んでいました。
絣(かすり)の着物に、赤い腰巻やたすきを掛け、並んで手植えする姿は、今では各地の御田植祭でしか見ることができません。重労働のため、かつては地域で助け合っていましたが、現在では田植え機などが導入され、農作業が軽減化されるようになりました。

新じゃがいもは春告げ野菜か!
田植えで忙しくなる同じ時期、農家では新じゃがいもの収穫期でもあります。
春先の新じゃがいもは水分が多く、皮が薄いのが特徴です。江戸時代初期、オランダ人によって長崎に渡り「ジャガタライモ」と呼ばれていたじゃがいもは、今ではいろいろ改良され、コロッケに適した「男爵」、カレーに適した「メークイン」など種類も豊富です。みずみずしく、シャキッとした食感の新じゃがいもは、春を告げる食材でもありますね。

じゃがいもは手軽な保存食!
じゃがいもは保存が効き、一年中食卓に欠かせませんよね。なかでも、新じゃがいもは春のほんのわずかな期間だけ出回る「旬」を感じさせる食材です。冷涼な気候でじっくりと育てる北海道がじゃがいもに対し、新じゃがいもは温暖な地域で収穫量が増えているようです。

日の当たらない涼しいところが大好き
野菜の栄養とうまみは皮の付近に多く含まれる、と言われます。新じゃがいもは皮が薄く、皮ごと食べることができるので、じゃがいもの栄養を効率よく摂取できるんですね。特に、ビタミンCは、長く貯蔵するじゃがいもよりも、収穫直後の新じゃがいものほうが含有量が多いそうです。ただし、水分が多く日持ちがしない新じゃがいもは日光に当てると皮が変色し、芽が出て有毒物質を発生しやすくなりますので、ご注意ください。
だからといって冷蔵庫で保存すると、味が落ちてしまいますので、必ず常温で保存するようにしてください。

じゃがバターはホックホクのアッツアツ!
素揚げして塩コショウでシンプルに味わうのは、皮の薄い新じゃがいもならではの美味しさです。なかでも丸ごと茹でたアツアツのじゃがいもにバターを塗った「じゃがバター」は、甘さがグーンと引き立ちます。石焼芋とはちょっと違った味覚で、至福の時に浸れますよね。しかも栄養があって低カロリー、満腹感もありますからその分ご飯を減らすと、ダイエットには最適なメニューです。

スーパーの店頭ではもう新じゃがいもが売られているかもしれません。この時季だけにしか賞味できない春の食材、新じゃがを召し上がってみてはいかがでしょう。





参考サイト:こだわりの美食ぴお、七十二侯がまるごとわかる本
写真素材:ふるさと歳時記

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大地が潤い、五穀を生み出す穀雨

穀物の成長を助ける菜種梅雨
4月20日は二十四節気の穀雨です。穀雨は春最後の節気で「雨がふって百穀を潤す」といい、「雨水がいろいろな穀物を生みだす」という意味があります。大地は潤い、種まきの好期でもあります。中国では秋にまいた麦を育てる雨という意味でしたが、稲作を農業の中心としている日本では、発芽したばかりの稲を育てる雨として重視されてきました。
この頃から天気も安定し、日差しも強まり始める一方で、穀物の成長を助ける春雨が降る頃となります。この時季の長雨を菜の花が咲く頃に降ることから、菜種梅雨(なたねづゆ)と呼んでおります。

葦

夏も近づく八十八夜
5月の新緑を美しくする菜種梅雨。イギリスにも「4月の天気は雨と日光がともに降り注ぐ」 という諺があるそうです。 この季節、雨が多いのは洋の東西同じなんですね。
長雨が続くと憂鬱な気分になりますが、植物にとっては大切な恵みの雨なんですね。稲だけでなく夏野菜を植えるにも最適の時季です。
立春から数えて88日目の八十八夜。この日に初摘みするのがお茶農家の習わしですが、特に八十八夜に摘まれる新茶は縁起物として珍重されます。この頃から摘み取られる新茶の香ばしいにおいが野原や山間部に満ちてきます。今年の八十八夜は5月2日。もうすぐ季節は夏です。

大地が緑色に輝く葭始生
穀雨の初侯「葭始生(あしはじめてしょうず)」は4月20日頃から4月24日頃をいいます。七十二侯の第十六侯にあたります。
春爛漫は、野山だけでなく、水辺にもやってきます。葦が芽を吹き出します。「葭」とも、「蘆」とも書く葦。日本はかつて「葦原の国」と呼ばれたほど葦は古くから親しまれていた植物であり、すだれや屋根、紙や楽器などに用いられ、人々の生活に欠かせませんでした。大地が緑色に輝くこの時季、それまで枯れていたように見えていた葦の成長が見られます。
パスカルは「人間は考える葦である」と言いました。なるほど、葦は強い風が吹いてもしなって倒れることはありません。人間は権力の前に従順に従っているように見えますが、決して屈している訳ではありません。人間は考えることができます。葦のように精神のしなやかさを持っているということなんでしょうね。

葦の角は水辺の春の象徴
水辺に生える葦の新しい芽。角のようなので「葦の角」と呼びます。地下茎からいっせいに萌え出ずる葦の角は、水辺の春の象徴です。
「春は名のみの風の寒さや」で始まる「早春賦」は、信州安曇野あたりの早春をイメージしたといわれています。
100年ほど前作られたこの名曲。2番の歌いだしに「氷とけだし 葦は角ぐむ」とあります。
暦の上では春だといいながら、まだ風はこんなに冷たい。とはいえ周りを見ると、水辺の葦がまるで角を出すように新しい芽を出し、春の兆候が表れている、ということを伝えているのでしょう。

「葭始めて生ず」。夏を目前にして、煙るようにしとしと降る優しい春の雨。葦の角からは晩春の香りが漂ってくるようですね。








参考サイト:ZAQぴお、七十二侯がまるごとわかる本
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